誤訳?

I'm amazed the way you pulled me out of time and hung me on the line


これはくせ者というか、訳出しにくい、意味の取りにくい歌詞だと思います。
ざっとあまたの個人ブログ(和訳ブログ)など見ても、皆さま思い思いに情感を込めて訳してらっしゃる。


ただ、ひとつの単語から、前後の単語を軽視してなんとなく雰囲気で引っ張って来てしまったのかな?ととれる訳もあって、これは誤読につながる危険性が高いのではないかなあと考えます。解釈はひとそれぞれ、でいいのかもしれませんが、個人的には、なるべく、元の語に敏感でいたいかな、と。


そういう意味では、最新のベスト盤についているという訳は、一語一語を読み込んで考えた訳だな、とわかります。
洗濯ロープに〜というのが論争を呼んでいるようですが、誤訳と言い切ってしまうのは気の毒な気がします。
翻訳をする人というのは、いろんな可能性や前後のつながりを考えて訳語の選択をしているわけで、逐語的に訳したわけではないと思うのです。
逆に、ここが「慰めてくれた」という意味だと言っている方は、全体のテーマに引っ張られ過ぎているんじゃないのかなあ。


私は、シンプルに、「へんなタイミングで僕を惹きつけた(ひっぱり出した、でも)、それでぼくをひもにかけてみせた」でもいいんじゃないかなあと思うんです。でもそれだとあまりに意味が不明瞭だから、洗濯ロープってしたんじゃないのかなあ。
ほかの曲の訳は見てないのですが、この曲に関しては、余計な色をつけないように苦労した跡が見て取れると思います。


ポールがリンダに出会って惹かれて、リンダのほうもひょいっとポールを選び出して、ちょっとそのへんに(わかるように、目立つように)かけた、って感じなのかなあ、とも。
私も、「時間のうねりのなかから(引きこもってた)ぼくを助け出してくれた」とかかと思ってたんですが、それだと後ろの意味がうまくつながらなくて。andぼくをlineにhungした、の。「引きこもってた僕をお日様にあてて乾かしてくれた」の可能性もあるかもですが。

※電話と言っている人がいますが、それだとyou hung me up on the lineとupが要るんじゃないのかなあ。



というわけで、洗濯ロープには必ずしも批判的ではないわたしですが、前述最新訳その前段のmaybe I'm afraid of the way I love youを「君を愛するのがこわい」とした、これには批判的です。

「愛するのに躊躇する」と取れてしまうのでこれは明らかに訳出不足だと思うのです。「愛しているのがこわい」とすればいいのかな。こんなに愛して、必要としてしまっている自分が怖いということだと思うので。


美しいですよね、本当の愛に出会ったんじゃないか?と戸惑いつつ、ものすごく彼女を必要としていくという。
My Loveも同じテーマの曲ですね。本当にじんとする歌詞です。